この前、沖縄民謡のライブがある居酒屋へ行ってみました。そしたら最後のほうで、ミュージシャンの方がすっごい早い曲を弾いていて、お客さんもみんな立ってカチャーシーってやつを踊ってて…。ああいうのに憧れるんですけど、初心者でもできますか?
できると思います。案外カンタンかもしれないです。早弾きのコツをいくつか紹介しますね。
三線の早弾きで有名な曲は、豊年音頭、唐船ドーイ、ヒヤミカチ節、オジー自慢のオリオンビール、アッチャメー小、などなど。
三線の生演奏のあるお店へ行くと、かならず最後に早弾きで盛り上げてくれます。カッコイイですよね!
初めて三線の早弾きに挑戦するなら、曲は豊年音頭か唐船ドーイがオススメです。いきなりは難しいかもしれないけど、コツさえつかめばだれでも弾けるようになりますよ!
下ごしらえ:まずは暗譜。
まずは早弾きの早さでなく、ゆっくりでよろしいですから、何度も弾いて覚えます。唄も覚えます。とりあえず一番だけでも、超ゆっくりでもいいので、何も見ずに弾き唄えるようにしておきます。
以上で下ごしらえは完了です。
さらっと書いちゃいましたけど、早弾きには暗譜は必須って思ってください。
「カチャーシーっぽいリズム」を理解する。
豊年音頭のイントロを、ゆっくり口ずさんでみてください。
「たっか、たっか、たっか、たっか、たっか、たっんたっんたっん」
字面見てると目がおかしくなりそうですけれども…(´д⊂)
工工四ではずらりと等間隔で書かれていますよね?でも、実際に弾くときは等間隔ではなく、「たっか、たっか」とはねるリズムに変わります。この「はねるリズム」を強調することで、あまり早く弾くことができなくてもそれっぽく聴かせることができます。
たっか、たっか
↑
ここを伸ばす/強く
たっか、たっか
↑
ここは短く/軽く
工工四を2拍ずつに分けていくと、その1拍めを長く、2拍めを短くとります。そして、1拍めのほうを力強く弾きます。まずはゆっくりでもいいので、意識して弾いてみてください。
繰り返していくと、ついつい踊りたくなる、あのカチャーシーみたいなリズムになります。「ゆっくり弾きでも、このリズムが守られているとなんかカチャーシーっぽい」とお気づき頂ければしめたものです。
わたしたちの周りで普段流れている歌謡曲やいわゆるJ-POPは、ほとんどが等間隔のリズムでできています。なので、相当の音楽通の方以外は、かなり意識していないとこのリズムを失いがちです。沖縄民謡を沖縄っぽく聴かせる第一の要素はリズムなので、ここは大事にしてみてくださいね。
※注:ヒヤミカチ節はちょっとリズムが違うので、この項目は当てはまりません。
やたらと早く弾かなくてよい。
プロの早弾きは確かにカッコイイですが、三線初心者の方がいきなりそこまで早く弾くのは無茶というものです。それに、無理矢理に早く弾いてしまうと、前述したリズムが崩れてしまい、不格好な音楽になってしまいます。
リズムを守れる程度、でも普段よりは早い弾き方。そのバランスの取れる落としどころを、練習しながら見つけてください。その方が格好良く聴こえますし、ノリも良くなります。
右手は、手首のスナップ。
早弾きだからといっても、「弦は弾くのではなくて押さえるような感じ」という三線の基本は忘れないでくださいね。じゃあどうやって早くするのかと言うと…
一音弾いたら、その次の瞬間、次の弦を弾ける位置へ構えます。手首のスナップを効かせて、跳ね返って戻ってくる感じ。小さいうちわを持ってあおいでいるような動きです。
ベースのチョッパー奏法って分かります?ダウンストロークのとき、親指で叩くように弾いてます。三線の早弾きは、それに近いイメージです。うまくいっていると、爪を持った右手の親指が弦を叩いているような感覚になります。
そして、力まないようにしてください。早く弾こうとするとどうしても肩に力が入り、指に爪(バチ)が食い込んでしまってしんどくなりがちです。リラックスしたままリズムを刻めることを目指しましょう。
左手は、訓練あるのみ
左手の運指は、ひたすら訓練しかありません!(笑)
「老」→「尺」なんかは初めは指がおかしくなりそうですが、そのうち慣れます。いえ、慣れるしかないのです。なので、まずはリズムを理解すること、右手の動きを楽にできるようになることを優先されたほうが、早弾きへの道は近いと思います。
間違いを気にしないで突き進む。
そして、最後のコツは、「弾き続けろ&唄をやめるな」!
宴会などでチャンスが巡ってきたら、練習の成果を披露してしまいましょう!
盛り上げる早弾きの場合、必ずしも工工四どおりに弾く必要はありません(*1)。自分が弾きやすいように、少しくらいなら工工四を改変してもいいと思います。
一音弾き逃してしまっても、音を間違えても、気にしないでリズムだけしっかり守りましょう。もうどうしようもなく間違っても、七四七四とだけ弾き続けてもいいのです。
そして、唄いつづけましょう。歌詞を間違えても、1番を何回も唄ってしまってもいいのです。
正直、誰も気にしません(*´∀`)
別にプロじゃないんですからね。
早弾きの目的は、お手本通りにきちんと弾き唄うことではありませんよ。盛り上げ、踊らせることが主目的なのですからね!とにかく途中で勝手にやめないこと。盛り上がっているところを途中で切るのは、興ざめですよ。
以上、三線初心者の方が早弾きをするためのコツを挙げてみました。あとは練習あるのみです!ご健闘をお祈りします。
(*1)古典をなさっている方や、先生について習っていらっしゃる方への補足 : もちろん、お教室や発表会ではきっちりと、先生のお手本や工工四どおりにすべきで、その上で評価されるのが当たり前です。ただ、遊び唄いの場合はそれにこだわることもない。先生に教わることと、遊び唄いは別ものだと、切り離して考えようではありませんか。