三線の基本

三線の歴史とは?「三線」って、そもそもどういう楽器なのですか?

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「三線」って、どういう楽器なのでしょうか。伝統的な楽器なのでしょうか?沖縄の楽器だというのは知っているのですが、それ以外のことを意外と知りません。

三線は、沖縄を代表する弦楽器です。

三線が沖縄の楽器であることは皆さんご存じでしょう。沖縄県外在住者でも、沖縄を紹介するテレビ番組や沖縄料理店などで三線の音色を耳にすることができます。が、それ以上のことを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

三線の歴史-三線は中国からやってきた?

sansinまずは三線の歴史についてお話ししましょう。調べてみると三線はむかし中国から持ち込まれた楽器であるという説をよく目にしますが、この説はほとんど間違いないとみられているようです。

14世紀頃に成立したとみられる琉球国は中国の王朝と外交上強い結びつきがあり、三線もその交易によって伝わったとしても不思議ではありません。また、三線に使われているヘビ皮は東南アジアが原産ですが、これが手に入るルートは中国を経由してしかありえないというのもこの説を支えているようです。

琉球王朝時代の三線は主に、中国の使節をもてなすための踊りや芝居と共に演奏され、いわば宮廷音楽専用楽器でした。それらの演目は現在も琉球古典音楽や組踊として伝わっているものです。

王朝には三線専門の役職まであったそうで、三線が政治や貿易に重要な役割を担っていたことが伺えます。

三線は、本土の三味線の先祖と言われています。

中国から伝わって沖縄で発展した三線ですが、じつは三線が本土に伝わって三味線のルーツになったといわれています。三味線よりも三線のほうが先祖だというのです。

琉球が日本の干渉を受けるようになったあとは交易も増え、三線は16世紀頃までに大阪に持ち込まれたといいます。しかし日本ではヘビ皮が手に入りませんでしたから、本州でも手に入る素材、犬・猫・牛などの皮で作り直したのが三味線のもとであるという説が有力です。

一般人も三線を弾くようになるまで

宮廷音楽専用だった三線は徐々に庶民にも伝わり、「毛遊び(もーあしび)」などの際に演奏されるようになりました。地域の風景やできごとを唄にしたり、あるいは古典を元ネタにリミックスしたりして、各地でそれぞれに唄が生まれてゆきます。これがいわゆる「民謡」です。

しかし前述のようにヘビ皮の三線は素材からして輸入品で、士族が持つような高級品でした。庶民には手が出なかったため、布や渋紙を張った三線が作られました。

現代、交通網の発達したいまではヘビ皮の三線は普通に手に入るようになりましたが、三線の長い歴史からみるとそれは「つい最近」のことなのです。

三線ではどんな曲を演奏するの?

三線は、演奏人口だけを見れば確かにあまり多くはないのでしょう。沖縄の人だって全員が弾けるわけではありませんからね。しかしながら、その奥の深さには驚かされます。

琉球古典音楽

まず、琉球王朝時代から伝わる古典音楽というものがあります。古典音楽はしばしば、首里城や観光地で観られる琉球舞踊とセットになっています。

沖縄民謡(※地域により分類あり)

そして、琉球民謡があります。民謡は古典音楽が庶民化されたものや、それぞれの地域に根ざして生まれた唄などがあります。

沖縄民謡は地域によって分類されることが多く、沖縄本島の民謡、八重山民謡、宮古民謡、奄美民謡といった分類があります。ただし、沖縄民謡も北部と南部では違うとか、もっと細かい地域、ときには村単位で分類できることもあるし、離島も含めるとジャンル数はものすごいことになってしまいます。当然、曲数も多いということです。さらに地域によって同じ曲を違うように唄ったりもします。

新民謡

さらに民謡には、大正時代以降に作られた「新民謡」というジャンルもあり、「十九の春」など歌謡曲と結びつくことで本土でヒットした例もあります。

ロック&ポップス

その後、三線はロックやポップスのシーンに登場しはじめます。1970年代に「ハイサイおじさん」で有名になった喜納昌吉とチャンプルーズ、80年代から活躍し沖縄ポップの開発者となったりんけんバンド、90年代に「島唄」をヒットさせたThe BOOMなどが挙げられます。2000年以降はBEGINが沖縄民謡の文法に則った曲作りに取り組み、「オジー自慢のオリオンビール」「パーマ屋ゆんた」などが生まれました。以上のように、ロック/ポップス畑の曲が三線の定番曲になることも珍しくなくなりました。

童謡など

また、もともと三線で弾くのではない曲だけれども、童謡やポップスを三線で演奏してみようとする人もいます。「ふるさと」や「チューリップ」の工工四(三線譜面)も発行されています。

このように、歴史が古いうえに、さらに今後も新しい唄が増えつづけるのが三線の世界です。よっぽどの歌い手でもすべてを知ることは不可能でしょう。三線は、じつはそれほど奥が深いのです。

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